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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.82 『第11章  夏休み最後の驚き』



  〜レッドモンドでの1年を終えて、アンは奨学金を手に
   アヴォンリーへ帰ってきました。
   変わっていないように見えた村でも何人かのお年寄りが亡くなり、
   時の流れに逆らい難い変化があったのです。

   そして、 古くからの友達、ルビー・ギリスが
   結核で余命を宣告されていることを知ります。




10代最後の夏休み。




"女、三界に家なし" と言われるが、私は最初から家にツキがない。

ここが家、 懐かしい我が家って思える家だったらなぁ…。

どの家も、 "仮の宿" 。 そこには感傷はあっても、愛着がもてない。


私の選択ではなく、家の運の浮き沈みで… 何でこうなるの


産まれた家からは10歳の時、夜逃げした。

逃げた先は襖一枚を隔てた "間借り" だから、あんなの家とも呼べない。

トイレは大家と共同。 風呂は銭湯に通った。

難民生活、と言った方が適切だ。


そうそう、 銭湯に行く代わりに、ビニールプールのお風呂に入ったっけ。

熱湯を入れるものだからビニールがヘニャヘニャになって、 数回の使用で
駄目になってしまったけど、テレビ見ながらお風呂に入れるのが良かったなぁ。

そこでは2年間暮らした。


次に越したのは、50メーター程離れた長屋。

隣の薪屋のリヤカーを借りて、荷物を運ぶ。

やっぱり、難民だわ…

でも、とりあえず風呂はあったし、薪にも不自由しなかった。


二階からの夜空の眺めは最高だった。

夏は窓辺に腰掛けて、 星空や川に飛び交う蛍を眺められる。

こんな部屋、高級旅館にだってない。 とても気に入っていたのに…



"ヨシロー君" の所から帰ってきたら、部屋の荷物がない。

私の部屋の本もレコードも、衣類も煙のごとく消えている。 机と本棚もない。

ダンボール数個が転がっているだけなのだ。

またしても… 夜逃げなのか… 勘弁してよ… 演出し過ぎだよ… 」


祖父の病気が悪性のものと判り、長男だった父が家に帰る話はあった。

父が仕事に掛かりっきりで、兄弟姉妹達と相談をする時間がとれないままに、
祖父は入院。

母が病院に付き添っている間に、お節介やきの叔母達がトットと引越しを
始めてしまったのだ。

よりによって… 私の留守中によ! 私のこと、完全に無視してない?

いいじゃないの、 よっちゃんは何にもしなくていいんだから

4人の叔母達の言い草。

まるで私が居ても、何の役にも立たないと言わんばかりで腹が立つ。

これじゃぁ、ハメられたようなものじゃないよ…


一緒に育った叔母達に、私は親しみを感じていた。

映画を観に行った帰りは、いつもおぶってもらった。

背中におわれている間に落としてしまった縫いぐるみを、夜遅くまで探し歩いて
くれた事もあった。

夜は本を読んでもらった。

みんなと暮らして楽しかったわ。


でも今日、 私は彼らの本性がわかった気がする。

私たち家族を馬鹿にしている。


彼らが深い考えもなしに起こす騒動には、随分笑わせて頂いたけど、
今後、私の前ではお行儀良くして頂くわ。

あんたらの都合のいいようにはされないからね。



大丈夫でございます、お嬢様。 私、糠床だけは一番に運んでおきましたから

"佐竹" には、帰る家はないのだと言う。

懐かしい村や家はあっても、恥にまみれ縁を切られた身で、戻ることは
許されないのだそうだ。

糠床の味は何処に行こうと、私の育った家の味でございますから。」


なんだか、人生の峠を越えて、 過去を振り返っているような気分になる。

孤児だった "赤毛のアン" でさえ、観光地に値する程の島の一軒屋に住んで、
愛情溢れる我が家を満喫しているっていうのに…

私は両親が揃っていて、 "コレ" よ。 親戚だって、ロクでもない連中…

難民生活の方が息が抜けて、自由に生活できたなんて、 皮肉よね。


でも、そんなおかげで "人の心がどこにあるのか" 、少しは考えられるように
なったのかもしれない。

周りで起こっている事に無頓着でいたら、ヤツらの好きにされてしまうのだ。

そんな状況も知らずに、のこのこヨシロー君に会いに行ってる場合じゃなかった。


私は悲劇のヒロインじゃない。

懐かしい我が家が欲しい、なんていう感傷もなくなった。

難民生活に慣れてる私よ。 何処に行ったって、楽しく暮らしていく自信はある。

立派な家や家族を、初めから持っている人がいるのは強烈に羨ましいが、
こう考えてみることにした。


アテになるのは自分だけ、 運命は自分で切り開くのよ。
posted by 片岡 よしこ at 10:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | バックナンバー
この記事へのコメント
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Posted by ホテルマン at 2008年06月20日 15:03
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