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赤毛のアン 〜毎日読むアン〜
〜アン、プリシラ、フィル、そしてステラが加わり、
4人は一軒家を借りて共同生活を始める事になります。
その家は "パティーの家" 。
分別のある人として自己主張をやめ、一緒に仲良くやっていきましょう。
アンはそう決意するのでした。〜
10代最後の夏休み。
誰にも言ってないが、 私は夏休みに "ヨシロー君" のいる街に遊びに行った。
友達に話したいけど、 話すと笑われて、むしろマイナスになるという
微妙な話なのだ。
夏休み前、行きたかったロックのコンサートが彼の街であるのを知った。
しめしめ、これは絶好のチャンスと思い、 すぐさま作戦を開始。
「わざわざこんな遠くまで観にに来るなんて、ガッツがあるなぁ〜」
あ〜もう… 私って…ホントは全然、ガッツない。
夏休みに遊びに行っていい? …って聞けなかったのよ。
断られたらどうするの、 困るじゃないの。
そう、彼に会いたくて行くのだ。 コンサートなんて口実。
チケット買ってしまえば、もうこっちのもの。
彼の都合も迷惑も、全然考えてない。
それでも彼は、にこやかに駅に立って待っていてくれた。
「コンサート終わったらどうする? 帰るのか?」
と、聞かれても…
「明日帰る… 」 と答えると、 おっ ヨシロー君、ちょっと驚いている。
「ちらかってるけど、タダの部屋があるんだ」
宿泊の予約すらしていない私が案内されたのは、駅前通りのビルの一室。
ヨシロー君の父親が貸している事務所だが、空き部屋になってからは
彼が時々使っているのだそうだ。
スチール製の事務机や回転椅子が置かれた部屋は埃っぽく、うらぶれていた。
そして窓際には、古ぼけたベッドがひとつ。 テレビも冷蔵庫も、風呂もない。
ホテルじゃないんだから、当然だけど。
問題は、 "ひとつのベッドでどうやって寝るか" だ。
と言うより "そのベットで何をするか" が、最も重要なんだけどね。
だが実を言うと… それが私にわかっていたかどうかは、些か自信がない。
それまで男の子の手を握ったこともなければ、キスしたこともないのに、
"それ以上の事" が私に想像できるわけがない。
どきどきしながらベッドに入り、ごそごそと服を脱いでスリップだけになった。
部屋には他に、横になれるようなソファーもない。
このベットだけなんだから…。
「さぁ、 カモン ベイビー…」
ハイ、まさか。 そんなゆとりはなかった。
彼はサッサと私の横に入ってくると、やさしく 「おやすみ」 を言って
電気を消した。
それだけ。 ほんとに、それで、オシマイ。
…。 眠れる訳がない。
大好きな男が隣で寝ている。
シャツとパンツで… 私はスリップ姿…
何かに期待して眠れないのではない。
この状況にドキドキして、 彼と私の間にある空気を揺らさないように…
だからまんじりともできなかったのだ。
実に奇妙な、笑われるような話。
だいたい… ヨシロー!
「男だったら根性見せたらどう! 何のために○○○つけてんのよ!」
しかし、考えようによっては一歩前進したとも言える。
次に会う時まで、期待を繋げられるではないか。
帰りの列車の中で、甘い期待だけに終わってしまった愚かな自分を慰めながらも、
この事は絶対 "ハル" には言うまいと決心した。
「ほらね、やっぱり "不能" だったのよ」
ハルならこれくらいの事は平気で言ってくれる。
私の期待はコッパ微塵に砕け散る。
男を見る目と分別があれば、初めから泊まりで男のところに行ったりしない。
こんなカッコ悪い話…、お姉さま方には言われん。
それが私の、ぎりぎりの分別ってものよ。
No.81 『第10章 むしろマイナスなお話』
〜アン、プリシラ、フィル、そしてステラが加わり、
4人は一軒家を借りて共同生活を始める事になります。
その家は "パティーの家" 。
分別のある人として自己主張をやめ、一緒に仲良くやっていきましょう。
アンはそう決意するのでした。〜
10代最後の夏休み。
誰にも言ってないが、 私は夏休みに "ヨシロー君" のいる街に遊びに行った。
友達に話したいけど、 話すと笑われて、むしろマイナスになるという
微妙な話なのだ。
夏休み前、行きたかったロックのコンサートが彼の街であるのを知った。
しめしめ、これは絶好のチャンスと思い、 すぐさま作戦を開始。
「わざわざこんな遠くまで観にに来るなんて、ガッツがあるなぁ〜」
あ〜もう… 私って…ホントは全然、ガッツない。
夏休みに遊びに行っていい? …って聞けなかったのよ。
断られたらどうするの、 困るじゃないの。
そう、彼に会いたくて行くのだ。 コンサートなんて口実。
チケット買ってしまえば、もうこっちのもの。
彼の都合も迷惑も、全然考えてない。
それでも彼は、にこやかに駅に立って待っていてくれた。
「コンサート終わったらどうする? 帰るのか?」
と、聞かれても…
「明日帰る… 」 と答えると、 おっ ヨシロー君、ちょっと驚いている。
「ちらかってるけど、タダの部屋があるんだ」
宿泊の予約すらしていない私が案内されたのは、駅前通りのビルの一室。
ヨシロー君の父親が貸している事務所だが、空き部屋になってからは
彼が時々使っているのだそうだ。
スチール製の事務机や回転椅子が置かれた部屋は埃っぽく、うらぶれていた。
そして窓際には、古ぼけたベッドがひとつ。 テレビも冷蔵庫も、風呂もない。
ホテルじゃないんだから、当然だけど。
問題は、 "ひとつのベッドでどうやって寝るか" だ。
と言うより "そのベットで何をするか" が、最も重要なんだけどね。
だが実を言うと… それが私にわかっていたかどうかは、些か自信がない。
それまで男の子の手を握ったこともなければ、キスしたこともないのに、
"それ以上の事" が私に想像できるわけがない。
どきどきしながらベッドに入り、ごそごそと服を脱いでスリップだけになった。
部屋には他に、横になれるようなソファーもない。
このベットだけなんだから…。
「さぁ、 カモン ベイビー…」
ハイ、まさか。 そんなゆとりはなかった。
彼はサッサと私の横に入ってくると、やさしく 「おやすみ」 を言って
電気を消した。
それだけ。 ほんとに、それで、オシマイ。
…。 眠れる訳がない。
大好きな男が隣で寝ている。
シャツとパンツで… 私はスリップ姿…
何かに期待して眠れないのではない。
この状況にドキドキして、 彼と私の間にある空気を揺らさないように…
だからまんじりともできなかったのだ。
実に奇妙な、笑われるような話。
だいたい… ヨシロー!
「男だったら根性見せたらどう! 何のために○○○つけてんのよ!」
しかし、考えようによっては一歩前進したとも言える。
次に会う時まで、期待を繋げられるではないか。
帰りの列車の中で、甘い期待だけに終わってしまった愚かな自分を慰めながらも、
この事は絶対 "ハル" には言うまいと決心した。
「ほらね、やっぱり "不能" だったのよ」
ハルならこれくらいの事は平気で言ってくれる。
私の期待はコッパ微塵に砕け散る。
男を見る目と分別があれば、初めから泊まりで男のところに行ったりしない。
こんなカッコ悪い話…、お姉さま方には言われん。
それが私の、ぎりぎりの分別ってものよ。
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