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赤毛のアン 〜毎日読むアン〜
〜初めての冬休み。
フィルは豪華絢爛たる社交界の待つ、ボリングブロークに
アンを誘います。
しかし、アンはそれを断り、懐かしいアヴォンリーへ戻ります。
グリーン・ゲーブルズは世界でただ一つの、
愛情溢れる我が家だったからです。〜
大学1年、初めての夏休み。
私の家は一本調子。 お客も来なければ、事件も起こらない。
せいぜい妹を泣かすくらい。
「うわっ! かわいい〜 スイカみたい!」
妹がバッグを買ってきた。
スイカを切ったような半円形で、色がスイカ色なのだ。
私は本気で褒めたつもりなのに… 新調したバッグにケチを付けられたと、
妹は泣き出した。
「もう… スイカにしか見えないもん…」 と、いつまでもめそめそしている。
あ〜 めんどくさい…
大学の友達は郷里へ帰ってしまった。 つまらん…。
誰もいない小学校で、キンコンカンコンと鳴るチャイムが暑苦しい。
見慣れた部屋の壁は他人行儀にむっつり黙り込んで、ちっとも話し掛けては
くれない。
夜になると、鉄橋を渡る列車の音が遠い友達を思い出させる。
「 … あの夜の事は悪かったと思うけど、僕、本気じゃなかったんだ…」
ライブで知り合ったベーシストは、ミッチに酷い言葉を残して去っていった。
男ができたって、あんなに喜んでいたのに。
急に冷たくなった彼を問い詰めた結果が、この言葉。
「このままずっと調子を合わせられるよりはいいわ。」
そう言って、ミッチは九州へ帰っていった。
しばらくして、ミッチから長い手紙が届いた。
毎朝お風呂に入って、髪を洗い、 紅茶を入れて大好きなロックを聴いていると、
フツウの綺麗な女の子になったような気になってくるそうだ。
そして、あの男と女(両親)の間に生まれ、こんな環境に育った罪悪感も不安も、
消えていくように思える… と。
ミッチの父親は、隣町で愛人にスナックをやらせているらしい。
スナックに飲みに行く父親について行ったそうだ。
文字通り、 「パパと同伴出勤…」 だって?
手紙を読み終えて、私はなんだか納得出来ない。
そんな所に行っちゃいけないよ、ミッチ。
だって… そんなの、おかしいではないか。
父親に愛人がいて、家族はそのことを知りながら平穏を装っている、と
いうことになる。
つまりは愛人の存在を認めているのと同じだ。
何でそんなことができるんだろう。
父親と同伴する娘を、母親は冷静に見ていられるはずがないのに。
むごい…
本心では不安や恐怖があるのに隠していると、私の心は衰弱する。
蝕まれていく様な気がするのだ。
そのくせ事を明るみに出すのが怖くて、知りたいことも黙って聞かずにおいて
しまう。
私の事をどう思っているの? 私の事好き? 私って、うっとうしい?
とは言え、 事実を知れば知ったで、受け止めきれなくて壊れてしまう。
生きているのは悲しいなぁ… 私はそう思わずにはいられない。
ミッチは手紙の最後をこう締めくくった。
「私の帰るべきところは、土の中。 それが、救い…」
モテ時に乗じて男をつくろうと意欲に燃えていたミッチは、すっかり意気消沈。
だが、侮り難きは "男の愚かさ" だ。 ミッチが悪いのではない。
そんな夏の真っ盛り、 私はミッチをオモチャにしたベーシストを発見。
このクソ暑いのに、皮ジャンかよ!
伸ばした髪が首に張り付いて、いかにも汚らしい男だ。 私は迷わず尾行を開始。
ヤツが貧しい買い物をしている間に、佐竹に連絡。
「なぁ、女たらし以上に下品な言葉ってなに?」
「スケコマシでございましょう。」
さすが。 佐竹は物知りだ。
さっそく、その言葉を書いた紙とセロテープを持って来るよう依頼。
ほどなく佐竹は、万事抜かりなくブツを持って駆けつけた。
貧しい買い物をレジ袋に入れるヤツの背後に忍び寄り、 皮ジャンの背中に
マンマと紙を貼り付けるのに成功した。
「スケコマシ」
その文字は堂々たる達筆で書かれていた。 それも毛筆で。
No.78 『第7章 退屈な夏休み』
〜初めての冬休み。
フィルは豪華絢爛たる社交界の待つ、ボリングブロークに
アンを誘います。
しかし、アンはそれを断り、懐かしいアヴォンリーへ戻ります。
グリーン・ゲーブルズは世界でただ一つの、
愛情溢れる我が家だったからです。〜
大学1年、初めての夏休み。
私の家は一本調子。 お客も来なければ、事件も起こらない。
せいぜい妹を泣かすくらい。
「うわっ! かわいい〜 スイカみたい!」
妹がバッグを買ってきた。
スイカを切ったような半円形で、色がスイカ色なのだ。
私は本気で褒めたつもりなのに… 新調したバッグにケチを付けられたと、
妹は泣き出した。
「もう… スイカにしか見えないもん…」 と、いつまでもめそめそしている。
あ〜 めんどくさい…
大学の友達は郷里へ帰ってしまった。 つまらん…。
誰もいない小学校で、キンコンカンコンと鳴るチャイムが暑苦しい。
見慣れた部屋の壁は他人行儀にむっつり黙り込んで、ちっとも話し掛けては
くれない。
夜になると、鉄橋を渡る列車の音が遠い友達を思い出させる。
「 … あの夜の事は悪かったと思うけど、僕、本気じゃなかったんだ…」
ライブで知り合ったベーシストは、ミッチに酷い言葉を残して去っていった。
男ができたって、あんなに喜んでいたのに。
急に冷たくなった彼を問い詰めた結果が、この言葉。
「このままずっと調子を合わせられるよりはいいわ。」
そう言って、ミッチは九州へ帰っていった。
しばらくして、ミッチから長い手紙が届いた。
毎朝お風呂に入って、髪を洗い、 紅茶を入れて大好きなロックを聴いていると、
フツウの綺麗な女の子になったような気になってくるそうだ。
そして、あの男と女(両親)の間に生まれ、こんな環境に育った罪悪感も不安も、
消えていくように思える… と。
ミッチの父親は、隣町で愛人にスナックをやらせているらしい。
スナックに飲みに行く父親について行ったそうだ。
文字通り、 「パパと同伴出勤…」 だって?
手紙を読み終えて、私はなんだか納得出来ない。
そんな所に行っちゃいけないよ、ミッチ。
だって… そんなの、おかしいではないか。
父親に愛人がいて、家族はそのことを知りながら平穏を装っている、と
いうことになる。
つまりは愛人の存在を認めているのと同じだ。
何でそんなことができるんだろう。
父親と同伴する娘を、母親は冷静に見ていられるはずがないのに。
むごい…
本心では不安や恐怖があるのに隠していると、私の心は衰弱する。
蝕まれていく様な気がするのだ。
そのくせ事を明るみに出すのが怖くて、知りたいことも黙って聞かずにおいて
しまう。
私の事をどう思っているの? 私の事好き? 私って、うっとうしい?
とは言え、 事実を知れば知ったで、受け止めきれなくて壊れてしまう。
生きているのは悲しいなぁ… 私はそう思わずにはいられない。
ミッチは手紙の最後をこう締めくくった。
「私の帰るべきところは、土の中。 それが、救い…」
モテ時に乗じて男をつくろうと意欲に燃えていたミッチは、すっかり意気消沈。
だが、侮り難きは "男の愚かさ" だ。 ミッチが悪いのではない。
そんな夏の真っ盛り、 私はミッチをオモチャにしたベーシストを発見。
このクソ暑いのに、皮ジャンかよ!
伸ばした髪が首に張り付いて、いかにも汚らしい男だ。 私は迷わず尾行を開始。
ヤツが貧しい買い物をしている間に、佐竹に連絡。
「なぁ、女たらし以上に下品な言葉ってなに?」
「スケコマシでございましょう。」
さすが。 佐竹は物知りだ。
さっそく、その言葉を書いた紙とセロテープを持って来るよう依頼。
ほどなく佐竹は、万事抜かりなくブツを持って駆けつけた。
貧しい買い物をレジ袋に入れるヤツの背後に忍び寄り、 皮ジャンの背中に
マンマと紙を貼り付けるのに成功した。
「スケコマシ」
その文字は堂々たる達筆で書かれていた。 それも毛筆で。
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