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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.77 『第6章  仮面の友情』


  〜ギルバートはアンを愛しています。
   それは、友情以上の愛でした。

   しかし、彼がそれを匂わせるようなそぶりを見せると、
   アンにとっては "危険信号" 。

   話をはぐらかしてしまいます。




私は、大学1年生。


その方は、お嬢様を好いておられるようですね。

また余計な事を、佐竹は確信を持って私に進言した。


近隣の大学との交流を目的とした、ピクニックが企画された。

早い話が、 "ゴウコン" 。


誰が考えたか知らないが、高校生の遠足でもしたことのないようなゲームを
させられ、 幼稚園児のように芝生に座ってお弁当を食べさせられた。

お尻がめちゃくちゃ冷える。


  「寒いさかい、ベンチに座らへんかぁ?

なんじゃ、このコテコテの大阪弁。 それが、セイスケだった。

四角い顔に一重で吊り上がった目、少々ずんぐりした鼻がついて、
唇を洗濯ばさみで止めたみたいにとがらせている。

顔もコテコテの大阪府民である。

やっぱり来るんじゃなかったわ。 男ほしさに、馬鹿みたいなゲームしてさ、
なんかサモシイじゃないの。


馬鹿面さげた大学生をメタメタに殴りたい気分。

  「そないに考えんかてえんちゃう? 友達つくりや思うたらええねん。

そしてセイスケは、まんまと友達つくりに成功したのだ。


  「なぁ、よっちゃん。

よっちゃんはやめろと何度注意しても、 「やっぱり、よっちゃんやんかぁ」 と
しつこく呼び続ける性格がうっとうしい。

 しょっちゅう電話を掛けてきて、長々としゃべる。

 全く疲れを見せずに、何キロも歩いて家に遊びに来る。

 バイト先の喫茶店の前をうろうろして、偶然通りかかったような
 見え透いた演技をする。

なんもかんもがイジましい男だった。


しかし、セイスケ様はお優しい方とお見受けいたしますが…
 遠くの恋人より、近くの友と申しますから。


佐竹… それを言うなら "遠くの親戚より近くの他人" やんか。

お〜嫌だ。 大阪弁がうつっている。


私にはヨシロー君という大好きな人がいることをセイスケに話した。

  「そうかぁ… そいつが好きなんかぁ… しゃあないなぁ…
   せや、これから "お化け屋敷" 行かへんか?


恐るべし、大阪府民。


  「怖ないでぇ。 ワシにしがみついたらええ。

はいはい、友達としてしがみつかせて頂きまひょ。

セイスケがどんな気持ちでいるのかさっぱり見当がつかない、
私はそんなフリをし続けていた。

佐竹に言われなくても、セイスケの気持ちはわかっている。

それでいて、気付かぬフリをしなければならないのはセイスケのせいだ。

友達としてのセイスケなら、私だって神経質にならなくて済むのだ。



ある日、遊びに来たセイスケを私は追い返した。

私が不機嫌なのを見て取ると、彼は何も言わずに立ち去ったが、
しばらくして電話がかかってきた。

公衆電話からだった。

  「ヨシロー君との恋に狂ってるんか?

私が誰に狂ってようが、あなたには関係ないことだわ。


セイスケ… それこそ "危険信号" 、というか "地雷" を踏んだのはアンタよ。

これでアンタとの仮面の友情とも決別だわ。


うっとうしいけど、まるで嫌いでもなかった友達のセイスケを、
私は心底嫌になった。

女同士の友達では有り得ないような別れ方だ…


と思ったのもつかの間、 しばらくすると何も無かった様に
セイスケは、またやって来た。

  「ゆうてなかったけど、大阪に帰っとったんや。
   電話も出来ひんでごめんな。 お土産持ってきたったで。


うぇ〜ん、 アンタはいなくなったともんと思っておりましたのに…


セイスケ… アンタも私と同じや。 納得するまで諦められへんのやな…

私もアンタも、うっとうしがられるタイプやわぁ。

"同類相憐れむ" ゆうやっちゃな。

せやからゆうて… あんたの事は友達以上にはどうしても考えられへんねん。
posted by 片岡 よしこ at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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