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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.74 『第3章  私とメグミ、京都に着く』

  〜雨の降る早朝、アンとギルバート、その他一名(出目の
   チャーリー・スローン)は島を離れ、夜遅くやっと大学のある
   キングスポートに着きます。

   アンはクイーン短大時代の友人プリシラと、
   オールド・セント・ジョン墓地の見える下宿屋に
   小さな根を下ろします。




私は今、19歳。


話はさかのぼって9ヶ月前、初夏の日差しが眩しい6月に、 私とメグミは
2度目の京都旅行に出掛けた。

メグミは京都の男性と文通をしている。

  そんなん初耳だわぁ…

私の事を話したら会ってみたいというから一緒に行こう、 と誘われた。

私の何を、どう話したんだよ!


メグミはいつも自分の事を「能がないから…」と言う。 でも、違うよ。

メグミは目立たないけど、何と言っていいか…、気持ちのキレイな人。

私は思っているのと逆の事を言ったりしてるけど、彼女はいつだって本音だ。

3年間付き合って、彼女のそういう所が私は大好きになっていた。


うん… 理想的な人って言った。

  フォッ フォッ フォ… 

それでは、会ってやらねばなるまいな。

もちろん、私と話をするのは素晴らしく楽しいでありましょう。

そろそろ本格的に受験勉強しなければという時に、私は浮かれていたのだった。



最初の京都旅行では、メグミに全く計画性がないことが判明。

2月、寒風吹きすさぶ中を、私はメグミの手を引いて路面電車やバスを乗り継いで
大原あたりまで散策した。

今度の旅行はメグミに任せればいいらしい。

厳密にはメグミが京都の文通相手に、旅行スケジュールを委託したのだ。

車があるから、それであちこち連れて行ってくれるんだってよ。



車の持ち主は、大学1年生のヨシロー君。

  へぇ〜 これが大学生というものなのかぁ… 

私が知っている男子学生とは全く違っている。

きたないカッコウをしていないぞ… 白い木綿のズボンに白いカッターシャツ
(ボタンダウンというらしい)を着て、皮のひらひらのついた靴を履いてる…

  なに?

  アイビーっていうのかぁ… 知らんわぁ…



それより… 私の目を惹いたのは托鉢僧

墨染めの衣を着て笠をかぶった托鉢僧が、シャラシャラ音のする杖をついて
フツウに歩いている姿を見ると、 さすが京都と私は心から感じ入っていた。



托鉢僧、 ヨシロー君、 緑の季節。

見せたいものがあるんだ。

夜景を見に嵐山を走った。京都の夜景を目の前にしてヨシロー君が言った。

この街で、一晩で何億って金が動くんだ。」

はぁ〜 さすが経済学部の方は観点が違うと、またまた私は感じ入ったのだった。


夜の京都の街を車で走る。

カーラジオから流れるのは、誰の歌だろう。 「緑の季節」って曲。

  あなたが 好きよ というまえに… てな歌詞だったな。

京都を思い出す時はいつもこの曲が流れ、色と光りにまばゆい街の明かりが
目に浮かんでくる。

そして、自由っていいなと思うのだ。

ヨシロー君は自由な大学生で、私は浪人生。

私も自由を手に入れたら、彼のように明るく人なつっこい目をして、
何処にだって行けるようになるのかなぁ。

  そうだったらいいなぁ。



また、会おうな。

ヨシロー君の言葉に大きく頷いて、 私は自由への憧れを胸に、
家路に着いたのだった。


その後、受験勉強に明け暮れる生活の中で、私は次第にヨシロー君の事は
忘れてしまったが、 まばゆい自由と緑の季節はひとつになって、
心に深く刻まれていった。


posted by 片岡 よしこ at 11:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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