薔薇色の45歳、ミス・ラベンダーに、 再びロマンスの花が咲くのは
間違いなさそうな展開になってきた。
些細な行き違いで仲たがいした者同士を再び出会わせ、幸せな結末を
用意するのは、 モンゴメリー得意の筋書きだ。
キューピットは喧嘩別れしたスティーヴン・アービングの息子、 ポール。
そしてアン。
現実ではあり得ない奇跡が、物語のなかでは起こる。 それもまことしやかに。
ほんとに些細な事、 ちょっとしたやきもちなら可愛いもの。
ミス・ラベンダーは 「ごめんなさい」 と言えばよかったのだ。
彼女はただその一言が言えなかった心のまま、45歳まで持ちこたえた "少女" 。
やり直せる。
「お互いに理解しあえば仲良く暮らしていけるわ。」
?! 理解しあう??
別れた亭主が私をどう理解したかは謎だが、 何というか…、ヤツの頭が悪すぎた。
何に付け "理解不能" なヤツだが、 少なからず、それは理解できた。
何を聞いても私の納得できる回答は得られず、 日々繰り返される口論も、
後半戦に入ると段々アホらしくなってきた。
「あんたが苦労かけどうしだから、こんな白髪になったんよ!」
もう、こうなったら、 なんでもバカ亭主のせいじゃ!
「あんたのせいで、こんなにシミだらけになったでしょうが。」
化粧品代と美容院代、1年分=6万円。 出せ。
こんな修羅場でもユーモアを忘れない私であった。
そう、 私がユーモアを忘れない間に心を入れ替えるべきだったのよ。
だから "バカ亭主" 、なのだ。
「ワシが悪かった。」
バカ亭主は土下座して謝ったけど、私は更に腹が立っただけ。
「私がまだ笑えるうちに謝るべきだったわね。」
大人の別れに、理由は二つしかないだろう。 金か女。
だがこれもまた "大人の物語" なので、私の場合は金だった… というところで、
ここは止めておこう。
煮ても焼いても喰えないようなヤツと、口論をしている時間が惜しい。
元気のあるうちに別の人とロマンスを考えたがいい。
仲直りは現実ではあり得ない。 まさに "奇跡" なのだ。
でもね、別れて知ったけど、 別の人とのロマンスも結構、奇跡。
離婚後のモチベーションを上げるには大切な夢だけど。
その後まもなく別居して、家庭裁判所にも通い、 おかげで "離婚" については
人の相談にも乗れる。
先日、70歳を過ぎた叔母が 「離婚する」 と言い出した。
後添えに嫁いだ亭主とは、たびたび離婚騒動を起こしていた。
何かにつけて死んだ女房の事を口にしては、叔母をいじめていたが、
歳をとったらお前はもう必要ない、とばかりに追い出しにかかったのだ。
男って、 なぜ歳と共に馬鹿さ加減が増すのかしら。
だから、女は腹黒く生き抜くしかない。
「おばちゃん、別れたら損よ。 ほっといても、亭主が先に死ぬから。
それまで元気でおり。」
今までの苦労も涙も、報われる時がきっと来る。 それは亭主のお葬式。
それを聞いていた父が一言。
「その話はやめんか…」
母に先立たれた父の微妙な男心なのだろうか。
とは言え、なんでもかんでも別れたらいいと言う訳には行かないだろう。
世の中には、別れるために一緒になるようなカップルもいれば、
別れないで忍耐させられるカップルもあるみたいだ。
それぞれに、そこから学んでいくためなのだろうが、 辛いものは辛い。
友人の一人に、別れた亭主と再婚した人がいる。
ロマンスはない。 癌で余命宣告を受けた彼を引取ったのだ。
そんな状況に到っても、彼はまるで何事もなかったかのように、
お気楽に過ごしているらしい。
「あんなに嫌で別れたのに… 私もお人よしよねぇ…」
グチることしきり。
亭主を見捨てられなかった彼女も、早く死んじまえと悪態ついてる彼女も、
正直で私は大好きだ。
世の男達へ。
こいつと一緒に居る、と気付ける回路がひとかけらでもあるのなら…。
自分のお葬式で少しは惜しまれて、 涙を流して貰えるように、
もう少し考えてみたらどう?
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赤毛のアン 〜毎日読むアン〜
No.63 『第22章 乙女の夢が破れる時 その3』
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