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赤毛のアン 〜毎日読むアン〜
性格の全く違う対照的な双子、 デイビーとドーラ。
服を着ていない王様を指さして、 「裸じゃないかぁ!」 と言って笑ったのは、
きっとデイビーみたいないたずらっ子だ。
お行儀の良いドーラなら、どうするかしら…。
王様が服を着ていないのは見えているのだが、周囲の空気を読み、
ただ黙っているだろうか。
それとも、立派な服を着た王様だと言う大人達に従って、王様が裸だと
いうことには眼をつぶるだろうか。
いたずら者なのに、 アンとマリラはデイビーの方が可愛いって話している…。
そんなぁ…、 大人って、絶対どっちかをひいきするんだから。
「人間って、自分を必要としている人を好きになるのじゃないかしら。」
もっともな理由だが、 デイビーもドーラも、いわばひとりの人間の裏と表。
そんなどちらかをひいきするなんて、おかしい。
ドーラもアンとマリラの気を引くようないたずらをすればいいわ。
私は生まれた時から、 実に大勢の大人の中で育った。
両親、祖父母、叔父が三人、叔母が四人、それに隣接する工場で働く人達が
我が家に出入りしていた。
皆忙しい上に、子育てについては無責任だったらしく、 私は躾などされた
記憶がない。
躾けられなくても、何となく善悪は分かっているから不思議だ。
デイビーは戸棚に隠れて、マリラご自慢の "お客様ジャム" を盗み喰い、
アンにこってりと叱られた。
私は押入れに隠れて食べたものだ。
食べ物を巡る争いは、我が家では日常的に繰り返されていた。
誰か一人でも喰いっぱぐれると、 大喧嘩。
いい年寄りになった今でも、 皆が集まると食べ損ねた時のことを根に持って、
グズグズ言うことしきりなのだから。
祖母は、高級な果物やお菓子は誰もいない時を見計らって、どこからともなく
出してくる。
「これは、ないしょでェ…」
と、桃のお皿を渡されて、 押入れの中で食べるように言われたものだ。
これって、なんか悪いこと教えられとるよなぁ…。
やがて、祖母が食べ物を隠している場所を突き止めた私は、 案の定、それを
こっそり押入れに持ち込んではムシャムシャやっていた。
別に悪いことだとは知らなかったから。
アンがマリラの紫水晶のブローチに触った事件。 私にも経験がある。
叔母達が出掛けた後は、私の天下だ。 衣装箪笥と引き出しの中は宝の山。
ふわふわのペチコートやら、模造ダイヤのブローチやらをしこたま身に付け、
レコードの音楽に合わせて踊り狂っていたが、 今思えば、人の物に触っては
いけなかったのだ。
知らなかった…
見つかって叱られるようなヘマはやらなかったが、もし叔母達が帰って来たら、
大あわての私を尻目に、さぞ大笑いされただろう。
食べ物に関しても、私は注意深かった。
"食べ合わせ" という事について、祖母から言い聞かされていたからだ。
「食べ合わせが悪かったら死ぬかもしれん…」
台所に貼ってあった、 薬売りから貰った "食べ合わせ表" をよく確認し、
仏壇にお供えしてあるお菓子を頂く。
お供え物を頂く時は、 "おりん" を鳴らさないとバチが当たると、祖母から
教えられていた。
地獄に堕ちるのだそうだ。
それがどういう事なのかは、あまりにリアルに描かれた仏教の絵本が
教えてくれた。
私はそれを見て、身の毛がよだった。
ある日、小さな "うにの瓶詰め" を巡って、 叔父叔母の争奪戦争が勃発した。
お酒のあてに祖父が食べ、 瓶には三分の一が残っていた。
「みんなで食べなさい。」
この一言を待っていた七人は、空腹のライオンの群れに投げ込まれた獲物めがけて
ワッと飛びついた。
誰が一番に箸をつけるのか、どのようにして平等に分けるのか、
それは可能なのか…、 めんどうだ、一口に食べちゃえ!
叔父がほんとに一口で食べちゃった… 怒る叔母、半泣きの者もいる。
それを見ていた私は "地獄絵本" を思い出した。
「これが地獄だぁ…」 心の中でそう思っていた。
大人が口やかましく言わなくても、子供は善悪を知るようになるものだ。
自分を見ていると思う。 どうしてなのだろう。
綺麗なブローチに触ってみるけど、こっそり元の所に戻しておくのはなぜだろう。
食べ物を取り合う姿が、なぜ地獄絵図に見えるのだろう。
きっと… 感じたままに生きているからではないだろうか。
沢山の人に接し、多くの事を見聞きし、悪事を重ね…。 それが経験になる。
本音を言えば、 私は今でも落ち着きなく、あちこちうろついては遠慮なく
覗き込み、面白そうな人や物を発見したら不躾な質問をして回りたくて
仕方がない。
気取った人には、いたずらを仕掛けて笑わせたくなる。
時にはそんな自分を解放してあげないと、ストレスで参ってしまう。
感じたままに思う私、社会に適応する私、 どちらも私。
あなたの心の中にも、 デイビーとドーラが混在していませんか?
No.55 『第14章 ツインズ〜 二つの性質』
性格の全く違う対照的な双子、 デイビーとドーラ。
服を着ていない王様を指さして、 「裸じゃないかぁ!」 と言って笑ったのは、
きっとデイビーみたいないたずらっ子だ。
お行儀の良いドーラなら、どうするかしら…。
王様が服を着ていないのは見えているのだが、周囲の空気を読み、
ただ黙っているだろうか。
それとも、立派な服を着た王様だと言う大人達に従って、王様が裸だと
いうことには眼をつぶるだろうか。
いたずら者なのに、 アンとマリラはデイビーの方が可愛いって話している…。
そんなぁ…、 大人って、絶対どっちかをひいきするんだから。
「人間って、自分を必要としている人を好きになるのじゃないかしら。」
もっともな理由だが、 デイビーもドーラも、いわばひとりの人間の裏と表。
そんなどちらかをひいきするなんて、おかしい。
ドーラもアンとマリラの気を引くようないたずらをすればいいわ。
私は生まれた時から、 実に大勢の大人の中で育った。
両親、祖父母、叔父が三人、叔母が四人、それに隣接する工場で働く人達が
我が家に出入りしていた。
皆忙しい上に、子育てについては無責任だったらしく、 私は躾などされた
記憶がない。
躾けられなくても、何となく善悪は分かっているから不思議だ。
デイビーは戸棚に隠れて、マリラご自慢の "お客様ジャム" を盗み喰い、
アンにこってりと叱られた。
私は押入れに隠れて食べたものだ。
食べ物を巡る争いは、我が家では日常的に繰り返されていた。
誰か一人でも喰いっぱぐれると、 大喧嘩。
いい年寄りになった今でも、 皆が集まると食べ損ねた時のことを根に持って、
グズグズ言うことしきりなのだから。
祖母は、高級な果物やお菓子は誰もいない時を見計らって、どこからともなく
出してくる。
「これは、ないしょでェ…」
と、桃のお皿を渡されて、 押入れの中で食べるように言われたものだ。
これって、なんか悪いこと教えられとるよなぁ…。
やがて、祖母が食べ物を隠している場所を突き止めた私は、 案の定、それを
こっそり押入れに持ち込んではムシャムシャやっていた。
別に悪いことだとは知らなかったから。
アンがマリラの紫水晶のブローチに触った事件。 私にも経験がある。
叔母達が出掛けた後は、私の天下だ。 衣装箪笥と引き出しの中は宝の山。
ふわふわのペチコートやら、模造ダイヤのブローチやらをしこたま身に付け、
レコードの音楽に合わせて踊り狂っていたが、 今思えば、人の物に触っては
いけなかったのだ。
知らなかった…
見つかって叱られるようなヘマはやらなかったが、もし叔母達が帰って来たら、
大あわての私を尻目に、さぞ大笑いされただろう。
食べ物に関しても、私は注意深かった。
"食べ合わせ" という事について、祖母から言い聞かされていたからだ。
「食べ合わせが悪かったら死ぬかもしれん…」
台所に貼ってあった、 薬売りから貰った "食べ合わせ表" をよく確認し、
仏壇にお供えしてあるお菓子を頂く。
お供え物を頂く時は、 "おりん" を鳴らさないとバチが当たると、祖母から
教えられていた。
地獄に堕ちるのだそうだ。
それがどういう事なのかは、あまりにリアルに描かれた仏教の絵本が
教えてくれた。
私はそれを見て、身の毛がよだった。
ある日、小さな "うにの瓶詰め" を巡って、 叔父叔母の争奪戦争が勃発した。
お酒のあてに祖父が食べ、 瓶には三分の一が残っていた。
「みんなで食べなさい。」
この一言を待っていた七人は、空腹のライオンの群れに投げ込まれた獲物めがけて
ワッと飛びついた。
誰が一番に箸をつけるのか、どのようにして平等に分けるのか、
それは可能なのか…、 めんどうだ、一口に食べちゃえ!
叔父がほんとに一口で食べちゃった… 怒る叔母、半泣きの者もいる。
それを見ていた私は "地獄絵本" を思い出した。
「これが地獄だぁ…」 心の中でそう思っていた。
大人が口やかましく言わなくても、子供は善悪を知るようになるものだ。
自分を見ていると思う。 どうしてなのだろう。
綺麗なブローチに触ってみるけど、こっそり元の所に戻しておくのはなぜだろう。
食べ物を取り合う姿が、なぜ地獄絵図に見えるのだろう。
きっと… 感じたままに生きているからではないだろうか。
沢山の人に接し、多くの事を見聞きし、悪事を重ね…。 それが経験になる。
本音を言えば、 私は今でも落ち着きなく、あちこちうろついては遠慮なく
覗き込み、面白そうな人や物を発見したら不躾な質問をして回りたくて
仕方がない。
気取った人には、いたずらを仕掛けて笑わせたくなる。
時にはそんな自分を解放してあげないと、ストレスで参ってしまう。
感じたままに思う私、社会に適応する私、 どちらも私。
あなたの心の中にも、 デイビーとドーラが混在していませんか?
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