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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.53 『第12章  空に雲』



人生とは何と退屈で、カビが生えたようにつまらないんだろう…。


今日一日、 たぶん昨日とほとんど変わらない日が始まろうとしている。

ここ何ヶ月かは、「赤毛のアン」 のことが頭を離れなくなってしまった。

次は何を書こうか…、 そればかり考えている。


「赤毛のアン」 について書き始める前は、 時間は全部、私のものだった。

朝は登ってくる真っ赤な太陽を横目に、 夕方は茜色の雲に向かって
車を走らせながら、下手な句など詠んでみたりしていたのに…

  夕飯の 鍋の中身は あかね色

  クリオネの月 微妙に温し 凍る朝


ぼんやり空を眺めては、 心に浮かぶことは皆、もう次の瞬間には
忘れてしまうけれど、 その景色が悲しい色に染まらない一日が大切だった。

せっかくの真新しい一日に、どうせロクなことはないと決めつけたら
失礼な気がする。

それでは、自分でカビを植え付けているようなものだ。



「赤毛のアン」 について書き始めて3ヶ月あまりが過ぎ、 ふと気が付くと、
書くために考え、感じようとしている。

心が忙しくて、思ったことや感じたことが素直に出てこない。

そうかと思えば、私の思う事など誰も面白がったりしないのではないかと
不安になる。

ようやく書き上げても、読み返すと全く違うものになっていて、
がっかりしてしまうことばかりだ。


泡のように浮かんでくる思いを書き留めることは、なんと難しいのだろう。

私は、行き詰まってしまったのだ。


しばらくは、書くことを忘れていたい。

書くために考えたくないから、 今日は普通の "私の日常" を
話してみることにする。



今日は、教会のオルガン当番(本当は "奉仕" と言うべきらしい)の日。

腕も肩もこりこりになるが、練習って本当に楽しい。

これは難しい…、無理かも…と思われる曲も、2週間毎日練習すると
弾けてしまうからだ。

これには、単に音楽が好きだからというだけでない、私の不思議な妄想がある。


私の中にいる誰か… ひとりのシスター、 "修道女" が喜ぶのだ。

初めて教会のリードオルガン(足踏みオルガン)を弾いた時、 そう感じた。

彼女が弾きたがっているから私は練習し、 心臓の音が聞こえそうなほど
どきどきして逃げ出したくなっても、オルガンを弾いているのだと思っている。


なぜそうまでして弾くのかと聞かれたら、好きな事を自分の楽しみの
為だけでなく、人の役に立てたいからと答えるだろう。

「シスターが喜ぶから」 なんて、誰もわかってはくれないだろうから。


この "音" は大切にして、ここはレガートして、 こんな感じに弾いて…

などと練習中に判るのは、私ではなくそのシスターなのだと、
私は感じるのだから仕方がない。

むしろ、 そうでなければ、子供の頃2年ほどピアノを習っただけの素人に、
できるはずがないと思うのだ。


子供の頃、 私はピアノが欲しかった。

我が家はオルガンを買うのが精一杯だったのだが、もしかすると
それもシスターの差し金だったのかしら。

オルガンで練習して先生の所でピアノを弾くと、タッチが違って全然弾けず、
辞めてしまったけど、 その後も何故か "賛美歌" だけは弾いていたからだ。

もし心の声を聞けていたら、 彼女をもっと早く喜ばせることができたのに…



私の中には、ほかにもまだ誰かがいる。

それは、アンに似ているようでもあるし、「丘の家のジェーン」 の
ようでもある。

また 「ねじまきどりのクロニクル」 に登場する、妙な女の子達にも似ている。

"ランニングシャツ姿" の小さな男の子も見え隠れする。

見つけてあげたら、ひどく喜ぶだろう。



心を自由に、思いつくままにしていると、 声が聞こえ、姿が浮かんでくるのだ。

どう書いたら感心して貰えるかなどと考えているようじゃ、そりゃ疲れるなと
思う。

もっと想像力を使わなきゃ。


そうは思うけど…、なかなか出来る事じゃないとわかりました。

想像力の水脈は、 計算式では探り当てられない所にあるのだもの。



posted by 片岡 よしこ at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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