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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.42 『第2章  理想のマンションライフ その2』



"アヴォンリー村改善協会"。

アンギルバートが中心になって結成された、 この会の目的は、
村を、もっと美しくすることである。


改善されないことについては保証つきのリンド夫人は、
改善されたいと思う人などいない、 と言い、

改善される必要のありそうな、変人のハリソンさんは、
改善の必要がある人が村には沢山いる、 と言う。

その度にアンは、 改善の対象は人ではなく、村そのものだ、と
熱心に説いてまわる。

問題を解決するには、人に理解してもらい、
その上で動いてもらわなければならない。

一筋縄ではいかない村民相手に、 "活動の趣旨" をどのように
理解してもらうつもりなのだろうか。



我がマンションの、 無断、 いや、無法駐車は、
管理組合の "悩みの種" のひとつだ。



道路から奥まった所に建つマンションなので、
エントランスまでの侵入路がついている。

片側が歩行者用に区切られているのだが、そこに車を駐める者が後を絶たない。

牛は囲いに入れ、 車は駐車場に駐めるものである。
にも関わらず、 空いていれば、どこでも挨拶や断りなしに車を駐車する。

二台目の車を駐める者、夜中に帰ってきて駐める者、
なぜか毎晩、同じ来客のある者。


ひどい者は、管理人さんが帰った頃を見計らって、 管理人専用の駐車場
ちゃっかり入れている。


良識ある他の住人達は、 憤懣やるかたない。

旗を立てたり、 植木鉢を並べたり、 コーンを置いたり、しまいには証拠写真まで撮り始めた。

管理組合は、侵入路にゲートをつけようと、 無理を承知で、見積まで取った。

さすがにこれは危険なので、総会で却下されたが、
住民の意識を鼓舞したことは確かだった。


更に… 良識ある住民は、 交通巡視員のように、不審な車を発見し、
違反切符のかわりに、警告を書いた "メモ" を貼り付ける。

入居間もない頃、 私は一度、いや二度、 間違った場所へ駐車してしまった。

言っておくが、 だだっ広い "空地" の駐車場なのに、
区画番号が消えてしまってわからないのだ。

二度ともキッチリ、メモが貼られていた。

  「ここは私の駐車場です。すぐ移動して下さい。」


何でもないこの文章、 違反キップの罰金と同じ衝撃が走る。

でも… 「私」って、 誰なんだ…?

やれやれ、 鬼の管理人さんに訊ねなければならない。


そんな訳で、 荷物の積み下ろしのためちょっと駐車するのにも、
私はびくびくしている。

どこの誰かもわからない住民達に、いつも見張られているような気がするからだ。



「でかい車に乗っとる思うて、 エラそうな!」

ある日、赤毛のアン太郎が怒っていた。

会社の軽トラを、階段に通ずるドア付近に駐めて、物を取りに上がった時の事。

「こんな所に駐めるな」と、 相当な悪態をつかれたそうだ。

確かに、 その車も、おじさんもエラそうな顔をしている。


しかし、 この駐車場問題が、赤毛のアン太郎に更なる悲劇をもたらす事になった。

ほんのちょっとのつもりで、 人様の駐車場に駐めたまま、
うっかり忘れて、寝込んでしまったのだ。

怒った持ち主は、警察にナンバーブレートの照会を依頼。

かくして、 アン太郎は大慌てで、菓子折を買いに走ったのである。



駐車場の契約者を公開してはどうか、と思った事がある。

そして空いた時間帯には、スペースをうまくシェアすればいい。

挨拶すらできない、エラそうな住民にとっては、 まさに夢のような話だが。



「存在感のない男ばかりだ。」

赤毛のアン太郎は観察している。

マンションの理想を考える前に、 まずは住民を入れ替えたいくらいだ。



しかし。 私達にも、 確実に "触れられたくない泣きドコロ" がある。


も、赤毛のアン太郎も、 ピアノを弾く。

ひとり30分ずつ弾いても、一時間は鳴りっぱなしになる。

時にはギターも入るし、も唄いたい。 おまけにアン太郎の声はデカイ

日々、私達はよくしゃべるし、 大声で笑う。


そんな、賑やかな我が家に対し、 上下両隣は、物音こそすれど、
話し声がほとんど聞こえない。 気味が悪いくらいに。



苦情が来たら、 受けて解決するしかない。

それがきっかけで、 もし、仲良くなれたなら…、 それが理想だ。

アン太郎は、 無断駐車でトラブったにも関わらず、
以降、 その方とは、にこやかに挨拶を交わしている。


高校時代。 当時の恩師が、いきがる私達 "青二才" に、 笑顔で話してくれた。

  「誰にも迷惑をかけないで生きるのは不可能。 楽になれや。」


この話を、 私は "お互い様" だと解釈している。


そんな、"お互い様" を認めない人達が、 このマンションには多いようだ。



posted by 片岡 よしこ at 07:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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