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赤毛のアン 〜毎日読むアン〜
人間、 死にそうな目に遭うまで、止められないことがある。
高い所から華麗にジャンプキックを決めるのは、変身したヒーローだけだ。
それはテレビの話なのに、足を折らねばわからないヤツがいる。
エレイン姫遊びで、死ぬほどの目に遭って以来、 アンは目に見えないくらい、
少しずつ子供の衣を脱いで行く。
アボンリーは、ロマンチックには向いていない村ですもの、
エレイン姫をするなら、塔の立ち並ぶキャメロットでなきゃ…
今、その世界は遠い昔、歴史の中に沈んでいる。
成長と共に、物語の世界と現実の世界を分けて考えられるようになるのかもしれない。
揺れる年頃にさしかかり、アンの本当の胸の内はどうなの? と、私は思う。
アン14歳の夏休みが始まった。
クイーン短大入学を目指して「全力投球で勉強」を始めたアン。
成績も熱心さもトップクラス。 良い友と、教師との実りある関係。
一日一日が、 "一年" という首飾りの黄金の玉を、ひとつひとつ繰るように過ぎていく。
アンは器量も良くなった。
「白い水仙が真っ赤な芍薬に交じっているように見える」
リンド夫人が言うのだから間違いない。
料理の腕も上がったらしい。
リンド夫人でさえ文句のつけようがないスコーンを、一人で作れるくらいしっかりしてきたのだ。
この辺りまで読み進むと、 何か今までと違う空気が感じられて、私は戸惑っている。
なんか… 出来過ぎていて ついていけない…
アンが遠くに行っちゃった。
あんた… 眩しすぎるわぁ。
14歳の、私の胸の内…
勉強できるモンはええな。 先生に叱られないし、 親だって優しくしてくれるし…
私の通う中学校は、高校の合格率最優先。
国立大学のお膝元にある、自称 "教育熱心" なマンモス校で、
一学年に700人の生徒を抱えていた。
まずは生徒のライバル意識を燃やすために、 試験毎に上位100人の生徒の成績が
廊下に張り出された。
それ以外の生徒の答案用紙は、運動場のお立ち台の上からばらまかれたりもした。
豆まきじゃあるまいし、 まったく馬鹿ばかしい。
勉強のできない者の居場所は、 校庭の隅にある焼却炉。
拾った答案用紙を燃やしてくれる、心温かい友達よ。
教師達に見張られている限り、私達には悪に走るチャンスはなかった。
例えば…、通りかかった教師に聞こえるように「ヤバイ…」って言ったとしよう。
即、教員室に呼ばれる。
教員室は "生徒改造工場" 。一度入り込んだら最後、ベルトコンベアに
乗せられ、 流れ作業的に、次々と担当教員に説教されて…、
ドアから吐き出された時には、 人格はおろか、顔つきまで変えられる。
そんなことが、 子供達に良い影響を与えているとは決して思えない。
私は勉強嫌いじゃないが、好きなことに夢中になっていた。
毎夜ラジオから流れる、洋楽のヒットチャートに、 遅くまで耳を傾けた。
おかげで学校では居眠りして叱られたけど、そんなこと 「どうでもいいわ」。
それに、お人形の服。
わたくしがデザイン致しました、何処にも売ってない "イッテンモノ"。
「ん〜 トレビア〜ン」
そんな熱い毎日を、小学校時代の "相呼ぶ魂" の友に手紙で書き送った。
ところが、彼女からの返事は予想もしない言葉だった。
「今は勉強に打ち込む時です。 一つの試験の終わりは次のテストの始まりでも
あるのです。 音楽に夢中になるのは入試が終わってからがいいと思いますよ。」
…。 ごもっともである。 アンを眩しく感じるのと同じ後味を残した。
一緒に騒いでくれたら嬉しかったのに、 わかってくれなかったのね。
ただでさえ、 将来の目標を決めろ、受験勉強しろ、とうるさく言われて辛いのに、
あんたまで同じこと言わなくたっていいじゃない!
アンまで必死で受験勉強始めるし… 裏切り者…
おあいにくさま。 私はまだまだ、夢や想像の世界で遊ぶつもりよ。
私達はそれぞれの個性をまとって、自分を知るための道の前に立っていたのだろう。
私は絶対、想像力をしなびさせたりしない。
アン、 あなたの胸の内、当てて見ましょうか。
教師をしながら、詩や物語を書きたい、 と思っているでしょう?
誰にも明かさない、密かな野心がある、って、 私は感じる。
No.30 『第30章 優等生なんか嫌いだ』
人間、 死にそうな目に遭うまで、止められないことがある。
高い所から華麗にジャンプキックを決めるのは、変身したヒーローだけだ。
それはテレビの話なのに、足を折らねばわからないヤツがいる。
エレイン姫遊びで、死ぬほどの目に遭って以来、 アンは目に見えないくらい、
少しずつ子供の衣を脱いで行く。
アボンリーは、ロマンチックには向いていない村ですもの、
エレイン姫をするなら、塔の立ち並ぶキャメロットでなきゃ…
今、その世界は遠い昔、歴史の中に沈んでいる。
成長と共に、物語の世界と現実の世界を分けて考えられるようになるのかもしれない。
揺れる年頃にさしかかり、アンの本当の胸の内はどうなの? と、私は思う。
アン14歳の夏休みが始まった。
クイーン短大入学を目指して「全力投球で勉強」を始めたアン。
成績も熱心さもトップクラス。 良い友と、教師との実りある関係。
一日一日が、 "一年" という首飾りの黄金の玉を、ひとつひとつ繰るように過ぎていく。
アンは器量も良くなった。
「白い水仙が真っ赤な芍薬に交じっているように見える」
リンド夫人が言うのだから間違いない。
料理の腕も上がったらしい。
リンド夫人でさえ文句のつけようがないスコーンを、一人で作れるくらいしっかりしてきたのだ。
この辺りまで読み進むと、 何か今までと違う空気が感じられて、私は戸惑っている。
なんか… 出来過ぎていて ついていけない…
アンが遠くに行っちゃった。
あんた… 眩しすぎるわぁ。
14歳の、私の胸の内…
勉強できるモンはええな。 先生に叱られないし、 親だって優しくしてくれるし…
私の通う中学校は、高校の合格率最優先。
国立大学のお膝元にある、自称 "教育熱心" なマンモス校で、
一学年に700人の生徒を抱えていた。
まずは生徒のライバル意識を燃やすために、 試験毎に上位100人の生徒の成績が
廊下に張り出された。
それ以外の生徒の答案用紙は、運動場のお立ち台の上からばらまかれたりもした。
豆まきじゃあるまいし、 まったく馬鹿ばかしい。
勉強のできない者の居場所は、 校庭の隅にある焼却炉。
拾った答案用紙を燃やしてくれる、心温かい友達よ。
教師達に見張られている限り、私達には悪に走るチャンスはなかった。
例えば…、通りかかった教師に聞こえるように「ヤバイ…」って言ったとしよう。
即、教員室に呼ばれる。
教員室は "生徒改造工場" 。一度入り込んだら最後、ベルトコンベアに
乗せられ、 流れ作業的に、次々と担当教員に説教されて…、
ドアから吐き出された時には、 人格はおろか、顔つきまで変えられる。
そんなことが、 子供達に良い影響を与えているとは決して思えない。
私は勉強嫌いじゃないが、好きなことに夢中になっていた。
毎夜ラジオから流れる、洋楽のヒットチャートに、 遅くまで耳を傾けた。
おかげで学校では居眠りして叱られたけど、そんなこと 「どうでもいいわ」。
それに、お人形の服。
わたくしがデザイン致しました、何処にも売ってない "イッテンモノ"。
「ん〜 トレビア〜ン」
そんな熱い毎日を、小学校時代の "相呼ぶ魂" の友に手紙で書き送った。
ところが、彼女からの返事は予想もしない言葉だった。
「今は勉強に打ち込む時です。 一つの試験の終わりは次のテストの始まりでも
あるのです。 音楽に夢中になるのは入試が終わってからがいいと思いますよ。」
…。 ごもっともである。 アンを眩しく感じるのと同じ後味を残した。
一緒に騒いでくれたら嬉しかったのに、 わかってくれなかったのね。
ただでさえ、 将来の目標を決めろ、受験勉強しろ、とうるさく言われて辛いのに、
あんたまで同じこと言わなくたっていいじゃない!
アンまで必死で受験勉強始めるし… 裏切り者…
おあいにくさま。 私はまだまだ、夢や想像の世界で遊ぶつもりよ。
私達はそれぞれの個性をまとって、自分を知るための道の前に立っていたのだろう。
私は絶対、想像力をしなびさせたりしない。
アン、 あなたの胸の内、当てて見ましょうか。
教師をしながら、詩や物語を書きたい、 と思っているでしょう?
誰にも明かさない、密かな野心がある、って、 私は感じる。
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