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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.20 『第20章  鬼』



アンがグリーン・ゲーブルズへ引き取られて、ちょうど一年が経った記念すべき日。


アンの質問は直球だ。

  「わたしなんか引き取って、 しまったと思っている、マリラ?」

  「しまったと思っているわけじゃないよ。」


本心では、 "アンなしでよくも生きてきたものだ" と思ってはいても、
それを言ったら最後、 アンは有頂天。

言いつけた仕事はそっちのけで、たっぷり30分はしゃべりっぱなしになるに
決まってるからね。



"やる" と決めた時のマリラは、 私の母に似ている。


小学生の私は水が怖かった。

  泳いだら溺れて死ぬ…


事実、 近くの一級河川の"遊泳禁止区域"で遊んでいて、溺れ死んだ子供がいた。

駄菓子屋のおばあちゃんの一人息子も、ずっと前に溺れ死んだんだって…

そんなかわいそうな子供達の霊が、水の中から足を引っ張るのではないか…


お〜 おそろしや



ある、夏休みのことだった。


  「泳ぎなさい。 川に落ちたら溺れるよ。」

母の一言で、私と妹の "地獄の特訓" が始まった。


炎天下の中、 2km程の道のりを、私と妹はプールへ引っ立てられて歩いた。


練習は、 "面かぶり" と "バタ足" の繰り返し。

浮き輪で楽しく遊ぶ子供達を尻目に、 私たちは眼を真っ赤にし、
鼻から水をたらし、 半泣き状態。

一方、 母は日傘をさしてプールの縁に立ち、"ああせぇ、 こうせぇ"と
叱咤激励、指示命令。

お尻が上がると日傘の先で突かれた。 もう、地獄。


嫌になってプールから出ようとすると、

  「なにくそ〜 って、歯を食いしばってやりなさい!」

そう言って、また日傘をさして涼しい顔。 決して水に入ろうとはしない。

なぜなら、"泳げなかったから" である。


それでも一週間程経つと、 水の怖さなどおっかない母に比べれば
何ほどでもないわ、と半ば開き直り、どうにか"我流"で泳げるようになっていた。


あの夏のプールサイドの母は、 鬼だった。



"トウヒの森" を通って行くように命じたマリラも、
アンにしてみれば鬼のようにみえただろう。

自分の想像で創り出した"恐怖"とはいえ、 後ろに仁王立ちのマリラ、
前には幽霊の出る森。 どっちもむちゃくちゃ怖い。



そう… あの夏の日、 出来ることなら、言いたかった。

  「おかあさん、 もうちょっとやさしくしてよ〜」


運動神経ゼロの私が、水泳だけは得意なのは母のおかげだ。

でも、 こどもは優しいのが好きだから、 厳しさも、優しさも、
同じ愛情だということがわからないの。



辛い現状にぶち当たると、 いつも目に浮かぶのは、
プールサイドに立っていた、鬼のような母の姿。


根性ナシの私だが、 やっぱり "なにくそ〜" よなぁ… 

そう思いながら、 足取りのろく、ぼとぼと前へ進んでいる。



posted by 片岡 よしこ at 00:34 | Comment(2) | TrackBack(0) | バックナンバー
この記事へのコメント
こんにちは。メルマガ購読してます大原と申します。ブログも楽しいですね。
今後ともがんばってください。
私は小学4年の時「赤毛のアン」読みました。
「スペルにEのつくアンよ」という言葉の意味が
わからなくって悩んだこと覚えています。それからしばらくは「空想の世界」を語って友達にうけました。
Posted by 大原  at 2007年11月16日 14:23
>大原様

コメントありがとうございます!

実を言うと… 読者様からのコメントが "全く" に近いほど来なくて…、
「おもしろくないんかなぁ…」などと 凹んでたところなんですヨ!!!  

私も、スペルに"E"の付くアンの発音に悩みました。
「アンヌ〜」とか言っては、自分一人でウケてました。

大原様はどんな "空想" をしていたのでしょうか…?
また機会があれば教えてくださいね!

いよいよ「赤毛のアン」の最終章が近づき、この後「アンの青春」 に
入るべきかどうか考えていたのですが、大原様からのコメントを戴き、
俄然ヤル気が出ました。 本当に嬉しいです。

今後とも末永くお付き合い戴けますよう、 改めてよろしくお願い致します。

応援ありがとうございました。
Posted by 片岡 よしこ at 2007年11月17日 20:57
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