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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.11 『第11章  白い襟』



すてきな服は女の子の夢だ。


アンくらいの年頃の子にとって、すてきな服とは"みんなが着ているような服"と言える。

ひとりだけ個性的で趣味がいいより、みんなといっしょに普通の服を着て、
つきなみな方がいい。



母は洋裁が得意だったから、小さい時から服はほとんどお手製だった。


マリラとは違って、流行を取り入れるセンスがあり、結構可愛い服を縫ってもらった。

ピアノの発表会の時には、ほとんどの子は制服の白のブラウスだったが、
私は母の手製のブラウスを着た。

それはクリーム色の丸襟のブラウスで、おまけにアンの憧れの小さなパフスリーブ、
胸にはスモック刺繍が施されて、制服の紺のプリーツスカートに似合っていた。


母は制服も縫った。 何着か古着の制服をどこからか集めてきて、
傷んでない所をつなぎ合わせて1着を作るのだ。

制服は小さな襟に白の替え襟をボタンで留めつけるデザインになっている。

ところが出来上がりは、型紙の取り間違えで襟ぐりの大きなシャツカラーになり、
白襟をつけるとますます襟が目立ってしまう。

着るとまるで"ろくろ首"みたいに見える。 服というより襟を着てる感じだ。

母は一言。

  「襟が大きすぎたわ。」


5年生、6年生の2年間はその「襟」を着た。

おかげで学芸会、遠足、どの写真を見ても、何の苦もなく私を見つけられる。
襟が「矢印」みたいに私を指し示しているからだ。

あ〜あ、 みんなと同じ襟なら、擦り切れてくたびれた制服でもよかったのに……


母もこの失敗を踏まえて、中学の制服は考えたようだ。

例によって古着を貰ってきて、今度は擦り切れて薄くなった肘の部分に、
見事な「つぎ」を当てた。

遠目には絶対わからない程の完璧な掛継だった。


でも友達とは遠目の付き合いはしないもの。 これにはがっかりしたが、

今度も母の一言。

  「ちゃんと直しといたから。」


くたびれて擦り切れていても、みんなと同じの襟で、「つぎ当て」のない制服が着たい。

口数の少ない母は、更に有無を言わせないトドメの矢を1本、私の胸に的中させた。


  「どこが気に入らないの。 穴が開いたままじゃないのよ。
   ちゃんと直してあるんだから、恥ずかしくないよ。」


マリラ以上に怖い。


posted by 片岡 よしこ at 15:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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