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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.5 『第5章  私は夢みる夢子』

すっかり忘れていたけど、アンの生い立ちはかなり悲惨だったのね。


生まれた時から赤毛で痩せて目ばかり大きいブサイクな子が、
3ヶ月の時両親をなくして、他人の家をたらいまわしにされ、
こき使われ、優しくもされず、いつも悪い子だとしかられ続けていたら、
まともな子になる訳がない。

この物語は少女には読ませられない"貧困と犯罪の物語"になっても
おかしくはない。
人は生まれた環境の中で人格を形成するといわれているし。

よくまぁ、 ひねくれもせず… と思う。



なぜなの?  Anne?

私の想像力は"厳しい現実"に直面し、グレていた。

「想像の余地があるってものよ」 …と、アンの真似はしてみるけど、
余地を充分埋めているかどうか、怪しい。


今の私はマンション暮らし。

想像で補わなければならない余地が、福岡ドーム3つ分くらいありそうなんだ。

家には夢があった。

川沿いの緑豊かな散歩道、木立のきらめきの差し込む窓、ベランダの草花、
ひとつひとつが削られて、私の経済でまかなえるきつきつの物件に落ち着いた。

工場地域の真ん中で、見えるのは工場の灰色の屋根と、
排気ダクトがブザマに突き出た壁、 機械の動く音と、排気の匂い… 


自分ひとりで探して買った、大切な家。
私の想像力で夢に近づけようか… アンを読むうちにそんな気持ちになってきた。

子供っぽいかなぁ…   でも、まぁ、 いいや。 誰にも言わんし。

これでも昔は「夢みる夢子」とまで言われたんだから。


スコットランドの湖水地方の様な、なだらかな山々、
緑の草原を想像してるかって?


いえいえ。

私は工場の灰色の屋根に話しかける。


  「暑いわ…  あんた、  暑いでしょうに…   」

  「あぁ…    たまらなく暑いさ 」

返事はいっつも一言。


長い間嫌っていたから、そんなにすぐには心を開いてはくれないんだけど、
排気ダクトは愛想良く、白い煙を吐くついでに唄ってくれる。

  「奥サンヨ〜 オレはァ〜 これでもォ〜 陽・気・な タチさ〜♪」

想像で補えないのはただ一つ。 それは、「匂い」ってやつよ。
こいつはどうにもならない。


思いっきし叫んでやるんだ。

  「おまえ、くさいゾー!」


posted by 片岡 よしこ at 09:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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