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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.116 『第3章  宇宙人』


私は大学生の頃、ベビーシッターのアルバイトをしていました。
(以前お話ししましたっけ…)

数年前、その会社の社長が亡くなられました。


懐かしい、赤い取っ手のついた事務所。 

急な階段を上ると二階が住居になっています。

ここに繋いでいた犬が落っこちて、
首吊り状態になったのを社員総出で引っ張り上げたのよね…。


それも二度もよ。 それでも社長は、そこに犬を繋いでいたわ。



亡くなるのを知ってたようにやって来る葬儀屋よりも、私は早く到着したようです。

社長の大親友の "Rの女" を除いてはね…。



私、社長には信頼されていたと思っています。

自分で言うのも…だけど、かなり優秀だと思われていた、ってね。

だけど私のこと、 片岡よしこって人間を社長はどう感じていたかなんて、
考えたこともなかった。

つまり、お馬鹿さんだったのよ。



でも、事実はいつか必ず明るみに出るもの。

社長が亡くなってまた数年が過ぎ、ある時私は偶然 "Rの女" に出会うことに
なり、 そこで衝撃の事実を彼女の口から聞いたのです。


 「あなたね

意味ありげな目つきで "Rの女" は言いました。

 「社長が "宇宙人" だって言ってた人?

?! うちゅうじん?

 「何考えてんだかわからんと言ってたわ


何考えてんだかわからない? "宇宙人"ですって?

そうなるともはや "人" ではないのだから、もうそれは未知との遭遇とも
言うべきで…


私って、そんなにわかり難いのかしら。


私はきっと、自分自身のことを話さなかったのだと思います。

つまり私は、ちいさなエリザベスと同じだったのです。


アンの住む "風にそよぐ柳荘" の隣、 "トキワギ荘" にいる女の子のこと。

エリザベスは、その日の気分で名前が変わるのです。

世界中のものがみんな好きな夜には "ベティー" 、悲しい時には "リジー" …
まだまだあるのよ。

エリザベスの夢見た、 "素晴らしい明日" と言う日が来るまでは、
彼女は "エリザベス" にはなれないの。

とても寂しい暮らしをしているのね…。 まだ8つだっていうのに。



そう… 私は "この人なら気持ちを打ち明けても大丈夫" と思えなければ、
自分を出せないのです。


笑われたくないし、馬鹿だと思われたくないでしょ?

出来るだけ普通の人っぽくしているわけ。 結構疲れるわ。

社長はとてもいい人だったし、安心してよかったんだと今なら思えるけれど、
若かったあの頃の私にはまだわからなかったのが、とても残念です。



そして月日は流れ、 私は様々な人に出逢いました。

嫌いじゃないけど疲れる人、顔も見たくない人…、

もちろん、気持ちを打ち明けられる大好きな人にもね。

今こうして思えば、意外に好きでも嫌いでもない人がほとんどだったのかも
知れません。

watashinookiniiri_2.jpg
でも、 どうにも嫌な人、関わりたくない人に対しては
私は"宇宙人"になって、
ヤツらに "未知との遭遇ショック" を与えてやるのです。

そして今日見たような、不思議な色あいの空に向かって、
飛び去っていくのです。



アカンベーをしながらです。
posted by 片岡 よしこ at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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