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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.101 『第30章  ナルシズム』


  〜エスター・ヘイソーンに代わって、7月と8月の間だけ
   アンはバレー・ロードの学校で教えることになりました。

   アンを迎えに来たのは、最近結婚したばかりだという
   中年の太った女性でした。

   「私は自分に向かって言ってやったんだよ。
   サラ・クローさんや、 そうしたいんなら、その金持ちのW・Oと
   結婚するがいいけど、幸せにゃなれないよ。
   人間、ちょいとでも愛がなけりゃ、一緒にやっていけるもんじゃない。」

   それで金持ちのW・Oをフって、貧乏なトーマスと結婚したんですって。




22歳になってもこんな私…



夢を見て、夜中に目が覚めた。 どうせ夢だ、気にせんとこっ… 二度寝した。


しばらくして、京都の "柏木さん" から手紙が届いた。

一ヶ月ほど前ですが、ヨシロー君が夜中に車で事故をしました。
ガードレールに激突し、朝まで発見されなかったそうです。
幸い大事にはならず、今は元気です



正夢だったのかしら… あの夜の夢は…。

"ヨシロー君" が田舎道の急カーブで、曲がり角にまつられている "地蔵堂" に
突っ込む、という夢だった。

ひっくり返ったお地蔵さんの頭突きで割れたフロントガラスが飛び散っている。

ヨシロー君は額から血を流して、死んだようにぐったりしていた。

私ったら、まだ彼に未練があるのだろうか。


柏木さんの手紙にはこんな事も書かれていた。

でも、妙な噂があります。 事故以来 "あっちの方" が…
つまり、男としての "機能" が具合の悪い事になってるという噂です。

本人から聞いたと言う人もいるそうです。 よしこさん、何か聞いていますか?」


うんにゃぁ なんも聞いてない…

だって、私は彼とはとっくにお別れしているし。



それにしても…

オ〜 ホッ ホッ ホッ! これぞ、執念の正夢攻撃とでも言おうか。

ヨシローを諦めはしたが、別れても潜在意識の中では恨んでいるとは、
我ながらなかなかアッパレな執念である。

 ヤツは私の想いを無視し、手紙の返事もよこさない。

 下宿に押しかけて行っても手を出さないから、こんなことになるのよ。

 今から後悔しても手遅れよ。 いい気味だ。

 私の方から好きになってあげたのに。

 私を好きになってくれない男はすべからく憎まれて、痛い目に遭うのよ。

 思い知ったか、ヨシロー。 復讐してやったような気分だわ。


私にとって "男" とは愛する対象ではなく、自分を愛してくれる者でなければ
ならないの。

「好きだよ」 「かわいいよ」

最低でも100回くらいは言ってくれる人が必要なのだ。

少なくとも22歳の小娘にはね。


心理学の講義で教えられた。

こういうのをナルシズム、自己性欲、あるいは自己愛と呼ぶのだそうだ。


美少年ナルキッソスに恋いこがれて、片想いのままもだえ死んだ妖精にでも
なったつもりで、恋に狂ってみたけれど…

所詮私は未熟で、他人を愛することを知らなかったのだ。



あの時、 私は本物の恋をしていると思った。

だけど、何にもわかっていなかった。




信じよう、 いつか笑い飛ばせる日が来ることを。

こうしている間も、現在はかたっぱしから過去になる。

"詩人が夢みた恋" は終わり、今はさよならを言うだけ。

笑って過ごせる日のために。
posted by 片岡 よしこ at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバー
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