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 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.160 『三年目第13章  言い訳』



まずは… 何のお断りもなく、一ヶ月もの間お休みをしてしまった事を
お詫びしたいと思います。




この一ヶ月はまるで長い長い一日のようです。

そして、その一日は未だに終わってはいません。


おやすみなさい」 と床に入って安心して眠れるのは、 "目的" を達成した時。

その "目的" とは、 父が 「生活保護」 を受給できた時。


どうして生活保護を貰わなければならないのかと、不思議に思われるかも
しれません。

子が親の面倒をみるのは、当たり前のことなんだから…

はい、おっしゃる通りです。


ウチは "まるちゃん一家" ではないのです。

彼らは最初から一緒に暮らしている上に、 ともぞうじいさんには、
年金という収入があります。

しかし、私が父を扶養しても何の補助金も受けられないのです。

年金のない父の老後を、私一人の経済力で支えきれるものではありません。

昼は土建屋で働き、夜はバイトで働けば、ちょっとした美談なんでしょうが…

…。 無理ってもんです。

私が父の面倒を見るためには、父をグリーンゲーブルズマンションから
追い出さなければならないのです。

それが "生活保護" というものなのです。



さて、 「考えているより動け」 です。

まず私は、 50万足らずとはいえ大きな負担になっている父の債務整理
弁護士に依頼しました。

自分の借金でもないのに、なんでこんな思いをしなければならないのか。

工場を片付けるのは、家の引っ越しとは訳が違います。

印刷機械は3台もあるし、山積みのゴミは産業廃棄物扱いのため、
処理業者に頼まなければならないのです。

20万は掛かるかもしれない… 機械を売ったお金で足りないかもしれない… ゾッとしました。

更に工場を借りた際、私は保証人となっています。

こんなことなら、お金がないのが自慢の妹も保証人にしとけばよかった…

奥の手は "土建屋のコネ" 。

出入りの業者に 「安くしてぇ〜」 とお願いしました。

甲斐あって予算より安く納まり、 私はほっと胸をなで下ろしたのでした。


これだけ苦労して片付けたのに、検分した大家が言った一言。

 「草を刈ってくれたんですね。 まぁ、地面を平らにならしてもらって、
 助かるわぁ


…って、あんた。

地面をならしたのはお節介焼きの、隣のおっつぁんなのに。 腹立つわ。


最後に残った父の車は… 冷たい雨の降る中を解体業者へ持ち込みました。

誰が付けたんだか、 "廃車天国" というばかげたネーミング…。

でもまさしく、そこは "天国" でした。



そして、 私達は "Xデー" を待っています。

一ヶ月後、生活保護の申請に行く約束になっているのです。

私は "親を見捨てた鬼" ということになるので、一緒に行くことは出来ません。

しかし保護の申請は本人が一人で行っても難しいと聞き、某政党の元議員に
一肌脱いで貰うことにしました。

彼が言うに、これは福祉担当者との "勝つか負けるかの戦争" なのだそうです。

だからこそ、一回で決めなければならないと言われました。

担当者から出直すように言われるようでは、次に勝てる見込みは
ないのだそうです。



現場に一緒におれない私には、祈ることしかできません。

まさしく謎に包まれた道をたどって、 父は一歩を踏み出そうと
しているのです。
posted by 片岡 よしこ at 22:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | バックナンバー
 赤毛のアン 〜毎日読むアン〜                           

No.159 『三年目第12章  飛ぶ雲に乗れ』



シャーリー先生は、小さなエリザベスを "飛ぶ雲" に連れ出します。

飛ぶ雲… おかしな名前の島ね。

素晴らしいことが起こりそうな予感がする…

なんたって、 「飛ぶ雲」 なんだから。


小さなエリザベスはこの島で、 まるで小説のなかでしかあり得ない、
読者を満足させる絶妙なタイミングとお膳立てで(何事につけても前置きは大切よ)、
明日に入っていくのです。


そしてエリザベスは…

赤ちゃんの時に別れたきり、一度も会ったことのない 「おとうさん」 に
巡り逢ったのです。


素晴らしいことが起こりそうな予感、あるいは希望。

そう…

世知辛い世の中、くだらない事ばかりに時間を浪費する人生にとって、
大切なのは "何かいい予感" なのです。


春が近づいて来る予感は、バス停に立つ女性のピンクのマフラー。

黒いコートの中に無造作にねじ込まれたピンクと黒のコントラストに、
私は春が近い事を感じるのです。

歳とともに悪い予感は必ず的中するようになり、 幸せの予感を感じられたのが
いつの頃だったのか… 私は忘れている事に気付きました。

でも、 今こそ私に必要なのは "いい予感" なのです。


エリザベスはおとうさんと暮らす事になるでしょう。 彼、なかなかイイ男よ。

けど皆さん、気付いてますか?

赤毛のアンに出てくる素敵な男達は、若いのからおじさんに至るまで、
みな "原型" はギルバート・ブライスなんです。

エリザベスのおとうさんは頭が良くて活動的、 心はナイーブでありながら、
ユーモアと茶目っ気を持ち合わせている男前。

そして、誕生日には花を忘れないような男。

最も重要な要素は、 恋人をあがめ奉り… 彼女が歩いた道にすら
接吻するようでなければ駄目なのです。

どう? いい予感を連れてくるようなおとうさんでしょ?


私のパパ。 ただ今同居中。

原型はギルバートとはてんで違うけれど、結構いいパパだと思っておこうと
していたのですが、 現実は…

歳をとれば頭が良かったのか悪かったのか、昔の事なのでわからなくなり、
活動的なのはややもすれば早とちりや要らんおせっかいと、裏目に出る。

心はナイーブ過ぎて、私の顔色を伺ってるのがうっとうしいし、
ユーモアは馬鹿っぽくて腹が立つし、
人の誕生日のケーキを馬鹿喰いするし…


そして、最も重要であるべきこと。

そう、 私の事をあがめ奉ってはいるのですが、いちいち何でも私に聞くので
ちっとは自分で考えているのかと腹が立ってきます。


それでも私は、この父を "飛ぶ雲" に乗っけてやらなければならないのです。

印刷工場をたたみ、父の家を探さなければならないのです。


一人暮らしの年寄りに家を貸してくれるでしょうか。

考えれば考えるほど、嫌な予感が的中しそうです。

その希望はいったいどこにあるのでしょうか。

ない… けど、探しに行かなきゃ始まらないですよね。

想像してみるのです。

パパのための家は、もう既にどこかに用意させているのだと…

そう信じることが私の希望になります。 じっと考えていては駄目です。


いざ、不動産屋へ!

そして、 この辺りを歩き回って、 "その家"に会いに行くのです。

"赤毛のアン太郎" と一緒にね。

大好きな彼と一緒なら、 悪い予感も "いい予感" に変わってしまうと
私は信じたいのです。
posted by 片岡 よしこ at 00:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | バックナンバー
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